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ブランディング

BRANDING

ブランディングの真価とは?ブランドが企業にもたらす価値

ブランディングとは何か?意味・定義

ブランディングとは、特定の企業/事業/プロダクトに関する認知やイメージを、企業戦略全体における全体最適としての理想状態に近づけるために、その「アイデンティティ」を軸に各ステークホルダーに対して戦略/戦術を設計、実行する活動全般のことを指します。

平易に言い表すなら、ブランディングとは、「企業、商品あるいはサービスについて、顧客・従業員・投資家・x広く世間や報道などの各種ステークホルダーのそれぞれに抱いてもらいたいイメージを主体的に明確なものとしたうえで、これを互いに共通のものとして認識している状態にするための活動全般」であるといえます。

ブランディングの軸はアイデンティティ

ブランディングを実践するにあたっての軸は、その企業/事業/プロダクトの「アイデンティティ」にあります。アイデンティティとは、そのものが目指す理想の世界観を指し、一般的にはその理念やミッション・ビジョン、パーパス(存在意義)として言語化されるものです。

身近なものを例に挙げると、例えば同じコーヒーショップであっても目指す世界観としてのアイデンティティの差分は大きく、スターバックスコーヒーはその理念として「人々の心を豊かで活力あるものにするために。ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」を掲げ、コメダ珈琲店は「誰もがくつろげる『街のリビングルーム』でありたい」を目指す世界観のひとつとして掲げています。

一見すると類似する商品やサービスが溢れる市場において、独自のアイデンティティを示し、そのイメージをユーザー/顧客と共有することで、顧客に選ばれ続けるための差別化要因となり、長期的な企業の存続と成長に繋がるのです。

整理すると、ブランディングとは何かを理解するためのポイントは以下です。

  • ブランディングの軸は「アイデンティティ」にある
  • ブランディングの対象は、個別のプロダクトのみに留まらず、企業そのものやその事業、プロダクト、サービスなど多岐にわたる
  • ブランディングは、その企業の戦略全体から要請されるものである

ブランディングの対象は、個別のプロダクトのみに留まらず、企業や事業そのものなど多岐にわたる

ブランディングというと、一般的には特定の商品や有名なブランドなどの事例が思い浮かぶかもしれませんが、ブランディングは企業や事業そのものを対象とすることもあります。
たとえば「採用ブランディング」や「インナーブランディング」を図る場合、ブランディングの対象は企業そのものであり、ブランディングのスコープ(=メインのターゲット)は採用候補者や社内のメンバーとなります。

目的や実現したい状態によって、ブランディングの対象やスコープは変わります。

ブランディングは、その企業の戦略全体から要請される

「ブランディングの最も重要な役割は販売促進である」、主にマーケティングの文脈で、このように捉えられることがあります。ある商品を売るためにブランドを構築していくにあたり、持ってほしいイメージを決めてクリエイティブを作り、広告キャンペーンを企画し、流通戦略を構築し、販売を強化する。これこそがブランディングであると認識している方もいるかもしれません。

しかし、ブランドは販促に限らず、より広範囲に影響を与える資産です。事業戦略や、組織文化、価値観などにも密接に関わります。短期的な販促だけを考えたブランディング・キャンペーンなどを実施してしまった結果、一時的に売上が上がっても、事業戦略に悪影響を与えてしまう可能性があるのです。

企業に関わるステークホルダー全体を考え、自分たちのアイデンティティをどのようにブランドとして体現し、ブランド資産として蓄積していくか。ブランディングの影響範囲をしっかりと勘案した上で、設計・実行していくべきものだと認識しておかなければなりません。

マーケティング観点でのブランディングの落とし穴

ブランディングをマーケティング、もっといえば販促活動の一部として考えることで発生しうる問題にも少し触れておきたいと思います。全体的なブランディング戦略の視点を忘れた場合に起こる悪影響の具体例です。

確かにブランディングには、マーケティングの効率を高める効果があります。広告への反応率やリピート購入率の向上など、マーケティング上の重要なKPIに影響を与えるのです。

その結果、そういった何かしらの特定のKPIを達成するためにブランディング的な施策を用いるということが、盛んに行われるようになっています。マーケティングファネルの効率を高める、スムーズにファネルを流すための要素としてブランディングを捉えるパターンも、これに含まれます。

しかし、実はこの思考には落とし穴があります。

現状、マーケティングの効果測定に用いられるのは基本的にユーザーの「行動」をトラッキングしたデータです。その行動に至るまでにユーザーがどう思っているか、どう感じているかといった「感情」はわかりません。

例えば、KPIをベースにブランディングに取り組むと、どうしてもユーザーに対して発信するコンテンツが増えがちです。各社の発信コンテンツが増え、市場にコンテンツが溢れかえってしまいます。そうすると、ユーザーは情報を追いきれなくなり、ストレスを感じることが増えてくるでしょう。その結果、ブランドへの好感度が下がっていってしまうのです。

情報の発信量が増えていると、新規層の接触やリテンションも増えるため、表面的なKPIは達成できることが多いです。しかし、ユーザーからみたブランド全体の体験は低下しているので、ブランド資産は目減りしていることになります。気付かないうちにブランドに悪影響を与えてしまうのです。

こういったマイナス効果を発生させないためにも、企業戦略におけるブランド資産の重要性を考えた上でブランディング戦略を設計していくことが重要です。ユーザーの感情を含めた全体的なBX/UXの設計によってレピュテーションを向上させた結果、営業活動や採用活動、販促活動など、幅広い成果をもたらすことができるのです。

ブランディングが企業の成長に与える影響とは

P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)に2008年まで25年間在籍し、その成長を支えたマーケター ジム・ステンゲルは、その著書『GROW』の中で、「優れたブランド理念は、企業の究極の成長エンジンになる」と説きました。以下はその著作からの引用です。

世界の五万以上のブランドを一〇年間追跡調査したデータによると、“人々の生活をよりよいものにする”ことを目指す高次のブランド理念をすべての活動の核に据えている企業は、同業他社を大きく上回る業績をあげている。
ステンゲル50
出典:ジム・ ステンゲル『GROW 本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えたトップ企業50』

※注:ステンゲル50とは、ステンゲルの10年にわたる調査の中で、ブランド理念の面で特に優れていると判断できた50のブランドのこと。これら50のブランドにおいて、2000年を基準として投資利益率(ROI)を算定したとき、S&P500と比して明白なROIの差分があることを示している。

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ブランディングのプロセス

私たちがクライアントのブランディングを支援する際のプロセスには、①リサーチ、②スコープ整備、③コンテンツアイディエーション、④クリエイティヴディレクションの4段階があります。それぞれ順を追って説明していきます。

リサーチ

リサーチは、現状はどのようなブランドを構築しているのか(もしくはしていないのか)、どのようなブランドを構築していきたいのか、また実際に構築していけるのか、アイデンティティを明確化するために行います。アイデンティティなどの想いの部分だけでなく、現状のユーザーとのタッチポイントやどのように購買などに至っているかのファネルも同時に整理していきます。ユーザーや市場環境だけではなく、経営層やメンバー、その他ステークホルダーも情報収集の対象です。

スコープ整備

スコープ整備では、リサーチ段階で明確になった自社のアイデンティティをベースに、ブランディングの対象範囲を設定していきます。企業ブランドスコープや製品ブランドスコープ、採用ブランドスコープ、KGI/KPI設定、コンテンツファネルなどがこの段階で整理されます。

コンテンツアイディエーション

コンテンツアイディエーションでは、ステークホルダーとの接点になる、アイデンティティの伝達に必要なコンテンツ、あるいはコンテンツを生み出す仕組みを作ります。代表的なものには、イベントやPRリレーション、ブランドサイト、企業サイト、店頭設計、販促物があげられます。

クリエイティヴディレクション

クリエイティヴディレクションでは、コンテンツを形にします。ここまでの過程で一つひとつ言語化、整理してきたものが、様々な形でアウトプット化されます。

ブランディングの事例

ここでは、弊社(DONGURI)が手掛けた株式会社ジェネラル・サービシーズ(GSI)のブランディング事例を紹介します。

ブランディング実施前の株式会社ジェネラル・サービシーズ(GSI)の状況

大前研一氏によって2002年に創業された同社は、「バックオフィスのコンサルティング」として日本有数の実績、特に「総務」のオペレーションについては日本随一の知見を有していました。コンサルティングによってバックオフィスを変革することで、生産性の高い組織へと会社全体を変革させることができる。これがGSIの強みです。

しかし、市場における認知は「バックオフィスのコスト削減を得意とする会社」にとどまっており、GSIが提供できる本質的な価値が伝わっていなかったのです。

この提供価値を改めて定義し、社内外に認知させるために、ブランディングに取り組みました。

ブランディングに向けた取り組み・事例

最初に行ったのは、代表者のヒアリングです。代表者のビジョンや現状の経営状況、さらに日本企業へのコンサルティングで得た知見をフレームワーク化しグローバルに進出するという将来像、それに向けての課題感などを中心にリサーチしていきました。

次に、役員や現場のエースプレイヤーを始め、重要なステークホルダーを対象にした半構造化インタビューを実施。その結果、社内外の情報流通構造が把握可視化され、策定した経営戦略にもとづくCI(コーポレート・アイデンティティ)が定められました。

その後、事業の本質的価値、さらにその延長線上にある経営ビジョンをもとに、経営目標として「Make General」という言葉を開発。そして、CIを伝達するツールとして、VI開発が行われました。企業ロゴ制作とビジョンのビジュアライズ、さらに内部向けには経営発表資料、外部向けにはコーポレートサイト、採用サイトが作られたのです。

株式会社ジェネラル・サービシーズ(GSI)のブランディング事例
株式会社ジェネラル・サービシーズ(GSI)のブランディング事例
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ユーザー感情を考慮したブランディングが市場での独自性を築く

ブランディングは、明確で価値のあるアイデンティティを軸に、ステークホルダーの心理や感情を捉えた上で設計していくことが重要です。ブランディングを実践し、自社の本質的強みをユーザーと共有ことで、レピュテーションが向上し、営業や採用、販促など幅広い成果を期待できます。
ブランドを企業の成長エンジンにしていけるよう、ブランディングの本来の在り方を正しく認識した上での実践が重要です。

デザイン思考

あなたの場所を
もっと楽しく。

YOUR PLACE, MORE FUN.

戦略を作るだけではなく、DONGURIの専門家がチームを組み、ハンズオンで事業や組織をもっと楽しい場所にします。お悩みの課題について、ぜひお話しください。