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組織文化

Organizational Culture

組織文化とは?企業にとっての重要性と文化醸成のアンチパターン

組織文化とは何か?組織文化の定義と意味

組織文化とは、組織において最も重要とされるグループプロセスを生み出すために必要なもの。ないしはグループプロセスの結果として出来上がるものです。また、組織が抱える課題は技術的問題と適応課題の2種類があるとされ、適応課題を解決した結果よりよい組織文化を形成していけると考えられています。

まず端的に「組織文化の定義」を表すと以上の通りになりますが、説明の用語として「技術的課題」や「適応課題」、「グループプロセス」など聞き馴染みのない言葉も多く、これだけで組織文化を理解するのは困難です。それぞれの用語を説明しつつ、組織文化とは何か、詳しい解説を進めます。

組織文化における「グループプロセス」とは

グループプロセスには、メンバーが発する態度や言動、メンバー間におけるコミュニケーションや人間関係など、グループ内で発生するさまざまな要素が含まれます。組織文化はグループプロセスに強い影響を及ぼしており、組織文化もまたグループプロセスからの影響を受けずにはいられません。

例えばある企業で、従業員が一つの目標に向かい一丸となる組織文化が築かれていたとします。この組織文化は、従業員同士がお互いの短所を補い合う、組織内で積極的に情報を共有するといったグループプロセスをもたらし、これらのグループプロセスは組織文化をより強固なものとするよう働きます。

技術的問題と適応課題とは

組織において発生する課題は、大別して「技術的問題」と「適応課題」の2つに分けることができます。

技術的問題とは、文字通り技術やスキルがあれば解決できる問題のことです。例えば自社製品の認知が思うように広まらず、売上が予想を下回っている場合などが挙げられます。この場合で、より認知を広げられるマーケティング戦略を立て直す、効果がありそうな新たな手法を取り入れるといったアクションで解決が望めるでしょう。技術的問題の解決方法はある程度のフレームが確立されていることが多く、正しい課題設定さえできれば解決策を見つけられる可能性が高いです。

これに対し適応課題とは、人と人の関係性や気持ち、感情に起因する課題のことです。分かりやすい例としては経営者と現場の対立が挙げられます。経営者は生産性向上のため新しい設備を導入したいと考えているのに、現場の従業員が「新しい仕事を覚えなければいけなくなる」「現場を知らない人間が勝手なことを言うな」と反発する例は珍しくありません。たとえ課題設定も打ち手も正しかったとしても、関係性の問題でうまく実行できないこともあるのです。

このように組織が抱える問題の種類を分けて認識し、適応課題にフォーカスして解決を図ることが、良い組織文化を形成していくことに繋がります。

なぜ組織文化が重要なのか?

良い組織文化が形成されていれば、適応課題が発生することは少なくなる上に、仮に発生したとしてもスムーズに解決へ導けます。技術的課題を解決するために有力な情報や協力を得やすくなり、結果として企業活動をより円滑に進めていけるでしょう。費用対効果を考えても、場当たり的に課題を解決するより、そもそも課題が発生しにくい環境を整えておいた方が効率的です。

組織文化が重要となるのは企業だけでなく、スポーツチームなどでも同じように考えられます。スポーツチームにおける目標が「試合での勝利」とすれば、技術的課題は各選手の技術や体力、選手の配置やポジション同士の連携能力が挙げられるでしょう。しかしチーム内で「試合結果よりも個人の活躍を重視する」という組織文化が形成されていれば、選手同士の仲が悪かったり、お互い足を引っ張り合おうとしたりなど、適応課題が山積みになってしまい、技術的課題を解決するどころではありません。

ビジネスにおいては技術的な課題にばかり注目が集まりがちですが、実際にビジネスを動かしているのは感情に左右される人間です。企業の組織文化を軽視していると、組織内のさまざまな面で歪みが生まれてしまうでしょう。

組織文化は、どのように作っていくべきか

組織文化は目的ではなく結果である

企業の組織文化はグループプロセス(従業員間のコミュニケーションなど)によって形成されるものであり、経営者や人事部署が直接介入しようとしても良い結果を期待しにくいものです。「当社は~~な組織文化の形成を目指す」と言い続ければ理想的な文化が作られるほど、簡単なものではありません。

これは仲が悪い2人を呼び出して「仲良くしろ」と言っても意味がないのと同じこと。良い組織文化を作ろうと思うと失敗してしまうため、あくまでサポートに徹する考え方が重要です。

組織文化形成のアンチパターン

メンバー同士の仲が良く、立場に関係なく率直にものごとを言い合える文化を作りたい。そういった想いから、「飲み会や社員旅行などの社内イベントを頻繁に行う」といった取り組みをしてしまうのは、典型的なアンチパターンです。こうした取り組みは非常にあからさまで、従業員からすれば「組織文化を良くしろ」と会社から指示されているように感じてしまいます。効果がないだけならまだしも、かえって言いたいことが言えない環境を作ってしまうことにもなりかねません。

好ましい組織文化を自然に形成するためにできること

組織文化を高めるために必要なのは好ましいグループプロセスが活発に起きることですが、経営者や人事部にできるのはそのきっかけを作ることだけ。いわば、「関係性への投資」です。

具体的な方法として考えられるのは、日常業務以外で対話の場を作る取り組み、例えばオフサイトミーティングやワークショップの実施などが挙げられるでしょう。事業や組織についてのテーマを定めて対話する機会を持つことで、飲み会などの社内イベントとは違う、深い対話が生まれる可能性が高まります。

ほかにも、1on1のやり方を見直したり、経営情報を開示し各々が会社について考えられる材料を提供した上で従業員の意見を聞く場を設けたりといった方法があります。

従業員同士のコミュニケーションが活性化し良い関係性が築かれていけば、その組織ならではの共通言語や新しい関係性が生まれ、やがて組織文化となっていきます。そのためにどのようなグループプロセスが必要で、どうすればそれが生まれるのか、考えながら取り組んでいくことが重要です。

組織文化の形成はどんな企業にも欠かせない

企業が抱える課題は技術的問題と適応課題に分けられますが、多くの企業は技術的問題にばかり注目しがちです。しかし現実には適応課題が大きな障害となっていることも多く、根本的な課題解決を図るには適応課題に目を向け、組織文化を高める必要があります。好ましい組織文化が築かれていれば、適応課題が障害になることは減り、技術的問題の解決も容易になるでしょう。

ただし、経営者や人事部署が組織文化を形成するため直接的な手段をとっても良い結果にはなりません。なぜなら組織文化はグループプロセスの中で自然に築かれるものだからです。

組織文化を高めるためにできるのは、組織内における対話のきっかけ作りです。組織文化形成を直接的な目的とするのではなく、あくまで良いグループプロセスを生み出すことを考えて取り組むことで、結果的に好ましい組織文化が形成されていきます。

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